建設業法19条の記載事項で工事請負契約書を点検する

19条1項は、内容の有利不利を問わず「定めがあること」を求めています。欠けた号は、自社に有利な内容で埋めることができます。

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工事内容・代金・工期だけの契約書は、中止・天災・値上がり・近隣・検査・遅延・紛争の7つの場面で空白になります。

このページの要点

  • 19条1項は建設工事の請負契約の当事者すべてに及び、許可の有無を問わない。16の事項を書面に記載し、署名又は記名押印して相互に交付する。
  • 草案で欠けやすいのは、6号(中止等)・7号(不可抗力)・8号(価格変動)・9号(第三者損害)・11号(検査の時期)・14号(各当事者の遅延利息)・15号(紛争解決)。
  • 「甲乙協議のうえ定める」は算定方法ではない。協議が整わないときの帰結まで書く。
  • 許可の有無で名宛人が入れ替わる規定がある。軽微な工事は500万円(建築一式1,500万円)に「満たない」工事で、分割しても正当な理由がなければ合算する。

結論:19条は「定めがあること」を求めている。有利な内容で定めを置けば足りる

建設工事の請負契約書を点検するとき、最初に当てる物差しは建設業法19条1項です。同項は、建設工事の請負契約の当事者が、契約の締結に際して、工事内容、請負代金の額、着手と完成の時期など16の事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならないと定めています。ここでいう「建設工事」は、土木建築に関する工事で建設業法の別表第一に掲げるものをいい(同法2条1項)、内装の改修、設備の交換、外構、解体、塗装、防水なども広く含まれます。

アトラス行政書士法人が工事の請負人や注文者から預かった契約書を19条1項に当ててみると、工事内容・代金・工期の3つは書いてあっても、「設計変更や中止の申出があったときの負担と算定方法」「不可抗力による損害の負担と算定方法」「物価が動いたときの代金変更と算定方法」「第三者が損害を受けたときの負担」「検査の時期」「各当事者の遅延利息」「紛争の解決方法」が抜けている例が目立ちます。工事の現場では当たり前に話し合っていることでも、契約書に一行もなければ、いざ揉めたときに拠りどころがありません。

ここで誤解されやすいのが、「16項目を全部書くと、自社に不利な条項が増えるのではないか」という心配です。19条1項は、その内容が当事者のどちらに有利か不利かを問わず、定めが「ある」ことを求めている規定です。欠けている号を埋めるとは、不利な条項を足すことではありません。請負人の立場なら、請負人に有利な内容で定めを置けば、それで記載事項は満たされます。たとえば不可抗力の損害は善良な管理者の注意を尽くしていた部分を注文者の負担とし、協議が整わないときは請負人の算定によるとする、遅延利息は注文者の支払遅延にも同じ率を置いて対称にする、紛争の解決は自社の本店所在地を管轄する裁判所とする、といった書き方です。注文者の立場なら、その逆の方向で定めを置けます。

このページでは、19条1項の16項目を一つずつ見ながら、事務所の書類で欠けやすかった号、「協議」で済ませてしまう書き方の問題、建設業の許可の有無によって名宛人がどう変わるか、を整理します。工事内容の書き方は工事内容の特定と既存部分のリスク、変更の書面は追加・変更工事の書面、紛争の解決方法の選び方は解除・出来高精算と紛争解決で掘り下げます。

19条1項の16項目と、草案で欠けやすい号

次の表は、改修工事の請負人が自社で用意した草案を19条1項に当てたときの判定を、項目ごとにまとめたものです。条数の少ない草案では、表のように半分近い号が「欠落」か「不十分」になりました。草案の書き手が手を抜いたというより、ひな形の多くが工事内容・代金・工期・支払・保証の5つ程度で組まれていて、6号以下の「起きたらどうするか」の号がもともと入っていないことが原因と見られます。

改修工事の草案を19条1項に当てた例

号記載事項判定点検の目
1号工事内容不十分「設計図書及び仕様書に定めるとおり」とだけあり、どの図書か(名称・作成者・日付・版)が特定されていない。
2号請負代金の額定めあり税込み・税抜きの区分と消費税額の記載まで確かめる。
3号工事着手の時期及び工事完成の時期定めあり「完成」と「引渡し」を区別して書いているかも見る。
4号工事を施工しない日又は時間帯定める場合のみ定めをするときに記載。テナント在室の建物の夜間・休日作業などでは定める場面が多い。
5号前金払・出来形部分に対する支払の時期及び方法定める場合のみ全額を竣工時に払う約定なら記載は要らないが、その旨を明記しておくと争いが減る。
6号設計変更・着手延期・中止の申出があった場合の工期変更・代金変更・損害の負担と算定方法欠落注文者側の申出による延期・中止の負担がまったく書かれていない。
7号天災その他不可抗力による工期の変更・損害の負担と算定方法欠落工期の延長だけで、出来形や搬入済み資材が滅失したときの負担がない。
8号価格等の変動・変更に基づく工事内容・代金の変更と算定方法欠落スライドの定めが皆無。
9号第三者が損害を受けた場合の賠償金の負担不十分請負人に帰責事由がある場合しか書かれていない。
10号注文者が資材を提供し、機械を貸与するときの内容と方法定める場合のみ支給材料があるときに記載。
11号完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期不十分検査の方法はあるが、「時期」(完成通知から何日以内か)がない。
12号工事完成後の請負代金の支払の時期及び方法定めあり起算点が「引渡し」のとき、引渡しの定義まで見る。
13号契約不適合責任・保証保険契約等の措置定める場合のみ定めをするときに記載。定めるなら期間と救済の範囲まで。
14号各当事者の履行遅滞その他の債務不履行の場合の遅延利息・違約金その他の損害金不十分請負人の遅延の損害金だけで、注文者の支払遅延の利息がない。
15号契約に関する紛争の解決方法欠落記載なし。
16号その他国土交通省令で定める事項定める場合のみ省令の定めを確認して記載。

判定は一つの草案を当てた例です。4号・5号・10号・13号は「定めをするときは」「するときは」と書かれた号で、その取決めをしない契約では記載は求められません。

表で「欠落」が並ぶ6号から9号は、どれも「当事者の一方に予定外のことが起きたとき」の号です。工事の契約書が、予定どおり進むことだけを前提に書かれていると、ここが空白になります。改修工事では、注文者の都合による着手の延期、テナントや近隣との調整による中止、台風での足場の飛散、資材の値上がりが、決して珍しくありません。空白のまま問題が起きれば、民法の一般原則に戻ります。たとえば引渡し前に出来形が滅失した場合、民法の原則では請負人が改めて仕事を完成させなければ報酬を請求できない方向に働きます。19条が6号から9号を記載事項にしているのは、こうした事態の負担を事前に決めさせるためと考えられます。

もう一つ見落とされやすいのが14号の「各当事者の」という言葉です。請負人の工期遅延の損害金だけを書き、注文者の代金支払の遅延について何も書かない契約書は、14号の文言に照らすと不十分です。事務所の改訂では、注文者の支払遅延にも遅延損害金を置き、両方の率と計算の基礎を書き分けています(代金の支払設計、工期遅延の損害金)。

「協議」は算定方法ではない:6号から8号の書き方

6号・7号・8号には、いずれも「その額の算定方法に関する定め」という言葉が入っています。ここでよく見かけるのが、「甲乙協議のうえ定める」「甲乙協議の上、甲が負担する」という書き方です。協議は話し合いの手続であって、解決の方法でも額の算定方法でもありません。協議が整わなかったときにどうなるかが書かれていなければ、結局のところ額は決まらず、算定方法の定めとしては足りないと事務所は考えています。

そこで事務所の改訂では、協議を残したうえで、協議が整わないときの帰結まで書きます。請負人の立場の契約書なら、「協議が整わないときは乙(請負人)の算定による」「乙が証拠により証明した額による」とし、注文者の立場の契約書なら、「協議が整わないときは、甲(注文者)が受ける利益の割合に応じて算定する」「単価表の単価に数量を乗じて算定する」といった具合です。数式や単価表を別紙に置ければ、さらに争いは減ります。

REV.事務所の改訂例 6号から8号の書き方

1不可抗力の損害(7号)

改訂前天災その他不可抗力により工事の完成が遅延したときは、甲乙協議の上、工期を延長する。
改訂後不可抗力による工期の延長に加え、出来形部分・搬入済みの工事材料・仮設物に生じた損害のうち乙が善良な管理者の注意をもって管理していたものは甲の負担とし、その額は単価又は乙の見積額を基礎として甲乙協議して定め、協議が整わないときは乙が証拠により証明した額とする。

理由工期の延長だけでは損害の負担と算定方法の定めがない。協議の帰結まで書くことで、7号の「額の算定方法」に応える。

2注文者の申出による中止(6号)

改訂前(定めなし)
改訂後甲の申出により着手を延期し、又は工事を中止したときは、工期を延長し、現場の維持、養生・警備、手配済み資材や労務の解約・待機、再開に要する費用その他乙に生じた損害を甲の負担とする。額は乙が内訳を示して協議し、協議が整わないときは乙が証拠により証明した額とする。

理由改修工事では注文者の資金事情、テナントの退去遅れ、上階や近隣からの苦情による中止が現実に起こる。費目を列挙すると請求の根拠が明確になる。

3価格変動(8号)

改訂前(定めなし)
改訂後予期することのできない価格等の変動により請負代金額が著しく不相当となったときは、乙は変動の内容と影響を示して請負代金額の変更を申し出ることができ、甲は正当な理由がない限り誠実に協議に応じる。一定期間内に協議が整わないときは、乙が証明した増加費用を加算し、甲に異議があるときは紛争解決の条項による。

理由協議の申出だけでなく、協議不調時の帰結を書く。同時に、注文者に異議の道を残すことで一方的な自動増額にならないようにした。

8号の価格変動の定めは、令和6年の改正で重みが増しました。改正後の建設業法20条の2第2項は、建設業者に対し、主要な資材の供給の著しい減少や資材の価格の高騰など工期や請負代金に影響を及ぼす事象が発生するおそれがあると認めるときは、契約を締結するまでに注文者にその旨を通知することを求めています。そして同条3項は、通知をした建設業者が、その事象が発生した場合に「第十九条第一項第七号又は第八号の定めに従つた」工期・工事内容・代金の変更についての協議を申し出ることができる、と定めています。契約書に7号・8号の定めがなければ、協議を申し出るときのよりどころとなる定めそのものがないことになります。価格変動の条項の具体的な組み方は、不可抗力・価格変動・工事の中止で詳しく扱います。

条文例

第○条(紛争の解決)

  1. 本契約に関して甲乙間に紛争が生じたときは、甲又は乙は、建設業法による建設工事紛争審査会のあっせん又は調停によりその解決を図ることができる。
  2. 前項のあっせん又は調停によって紛争が解決しないときは、甲又は乙は、工事現場の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所に訴えを提起することができ、当該裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

15号の「紛争の解決方法」の定め方の一例です。審査会の仲裁まで合意すると、同じ紛争について裁判所に訴えを提起できなくなる点に注意が要ります(仲裁法14条1項)。裁判所と審査会を並べて書く場合は、審査会の手続をあっせん・調停に限るのが一つの方法です。

許可の有無で何が変わるか:19条は誰にでも及ぶ

建設業の許可を持たずに工事を請け負っている事業者から、「軽微な工事しか請けていないのに、19条の書面は要るのか」と聞かれることがあります。建設業法3条1項ただし書は、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者には許可を要しないとしており、建設業法施行令1条の2第1項は、軽微な建設工事を、工事一件の請負代金の額が500万円(建築一式工事の場合は1,500万円)に満たない工事、又は建築一式工事のうち延べ面積が150平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事と定めています。つまり、500万円ちょうどの工事からは許可が必要になります。

一方、19条1項の主語は「建設工事の請負契約の当事者」です。許可を受けた「建設業者」に限っていません。許可のない事業者が請け負う軽微な工事でも、その請負契約の当事者である以上、19条の書面の作成・交付は求められます。事務所が許可の有無を確認するのは、19条が及ぶかどうかではなく、建設業法の各規定の名宛人が許可の有無で入れ替わるからです。

建設業法の主な規定と名宛人

規定主語・名宛人許可のない請負人への及び方
19条1項〜3項(契約の書面・変更の書面・電子化)建設工事の請負契約の当事者及ぶ
19条の3第1項(不当に低い請負代金の禁止)注文者注文者として発注する立場なら及ぶ
20条3項(注文者の見積条件の提示と見積期間)建設工事の注文者注文者として発注する立場なら及ぶ
20条の2第1項(注文者による工期等に影響する事象の通知)注文者が「建設業者」に通知する相手方が建設業者でないので、許可のない請負人は通知を受ける立場にない
20条の2第2項〜4項(建設業者による通知と協議の申出)建設業者直接は及ばない。価格変動は契約の定めだけが頼りになる
22条1項(一括下請負の禁止)建設業者直接は及ばない
22条2項(一括して請け負うことの禁止)建設業を営む者建設業者から一括して請け負う側として及ぶ
24条の3・24条の4(下請代金の支払・検査及び引渡し)元請負人(下請契約の注文者で建設業者であるもの)直接は及ばない
26条(主任技術者・監理技術者の設置)建設業者直接は及ばない

「元請負人」は、下請契約における注文者で建設業者であるものをいいます(建設業法2条5項)。許可のない事業者は、下請に出す場面でも「元請負人」には当たりません。

違反があったときの扱いも、許可の有無で変わります。許可を受けた建設業者については、建設業法28条1項が、同法の規定(一部の規定を除く)に違反した場合を指示処分の対象としており、19条に違反して書面を交付しないことは、それ自体が指示の事由になり得ます。これに対して許可のない事業者に対する指示は、同条2項により、建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき又はそのおそれが大であるとき、請負契約に関し著しく不誠実な行為をしたとき、に限られます。

それでも許可のない事業者が今から19条の様式に合わせておく意味は大きいと事務所は考えています。将来許可を取れば、その時点から19条違反は28条1項の指示の事由に乗ります。契約書のひな形を作り直すのは手間ですから、最初から19条1項に沿った形にしておけば、許可を取った日から書類を差し替える必要がありません。何より、6号から9号の定めは行政処分のためではなく、自社を紛争から守るためにあります。

許可のない事業者に固有の注意点もあります。工事を二つ以上の契約に分けて請け負っても、正当な理由がなければ各契約の代金を合計した額で軽微かどうかを判断します(施行令1条の2第2項)。注文者が材料を提供する場合は、その市場価格(又は市場価格及び運送賃)を代金に加えた額で判断します(同条3項)。追加工事を別契約にすれば500万円を超えないと考えるのは危険で、事務所の改訂では、軽微な建設工事の範囲を超える追加変更工事は受注しないという条項を置き、合算と支給材料の加算のルールを条文に書き込んでいます(追加・変更工事の書面)。

見積書+注文書、基本契約+チャット発注は、どこが足りないか

小規模な工事では、契約書を作らずに、見積書に注文者が承認の印を押す、あるいは注文書と請書をやり取りするだけで受発注していることがあります。19条1項は書面の形式を契約書に限っていませんが、16の事項が当事者双方の署名又は記名押印のある書面に記載され、相互に交付されていることが必要です。見積書の多くは工事内容と代金しか書いておらず、6号以下の事項は欠けます。注文書・請書の方式をとるなら、基本契約書をあらかじめ締結しておくか、約款を添付・引用して、16の事項がどこかに必ず書かれている状態にしておくことが前提になります。

継続的に工事を発注する事業者では、基本契約を結んだうえで、個別の工事はチャットやメールで「見積りを承認します」と返すだけ、という運用も見られます。この組合せでは、6号から8号のような事項が基本契約にも個別の発注にも置かれていないことがよくあります。また、19条3項は書面に代えて電子的な方法をとることを認めていますが、建設業法施行規則13条の4第2項は、その方法が、相手方がファイルの記録を出力して書面を作成できること、記録が改変されていないかどうかを確認できる措置を講じていること、相手方が本人であることを確認できる措置を講じていること、という技術的基準に適合することを求めています。一般のチャットやメールのやり取りがこれを満たすとは限りません。電子化の具体的な組み方は追加・変更工事の書面で扱います。

ご相談と回答 記載事項の点検

見積書と注文書だけで工事を受けています。何を足せばよいですか。

見積書・注文書で工事内容・代金・工期は押さえられていても、6号から9号、11号の検査の時期、14号の各当事者の遅延利息、15号の紛争の解決方法が欠けることが多いです。全部を毎回書くのが難しければ、これらを定めた約款を作り、注文書に「別添約款による」と記載して約款を添付する形が現実的です。

16項目を全部入れると、契約書が注文者に不利な内容だらけになりませんか。

19条は定めがあることを求めており、内容の有利不利は問いません。請負人の立場なら、6号から8号は注文者の負担とし協議不調時は請負人の算定による、14号は注文者の支払遅延にも同じ率を置く、15号は請負人に負担の少ない管轄にする、といった形で埋めることができます。

改修工事で請負代金が大きくなりそうです。建設業法以外に契約書に書くことはありますか。

改修工事で一定規模以上の解体等を伴う場合には、建設リサイクル法による分別解体等の方法・解体費用などの記載が契約書面に求められる場合があります。規模の確認は、工事内容が固まった段階で行います。

ヒヤリングで最初に確かめること

19条の点検は、契約書の文面だけでは完結しません。号ごとにどこまで書けばよいかは、工事の種類や取引の形によって変わるからです。事務所が工事の契約書を作成・レビューするときに最初に確かめる問いを挙げます。

ヒヤリング点検表 記載事項の前提

  1. 建設業の許可を受けているか。受けていない場合、一件の請負代金はどのくらいの幅か。名宛人が入れ替わる規定と、軽微な建設工事の範囲を超える追加工事を受けられるかどうかが決まる。
  2. 注文者は法人か個人か。個人なら、工事の対象は自宅か、賃貸用の建物か。消費者契約法・特定商取引法の適用の有無が分かれ、免責や違約金の書き方が変わる。
  3. 契約は契約書の調印で結ぶのか、見積書・注文書・請書か、電子契約か、チャットか。19条1項・3項の要件をどの書面で満たすかを決める。
  4. 前払・中間払・竣工払の割合はどうか。部分的に先に引き渡すことはあるか。5号・11号・12号の書き方と、部分引渡しの条項の要否が決まる。
  5. 施工しない日や時間帯の取決めはあるか(夜間・休日のみの作業、テナントの営業時間外など)。4号の記載の要否が決まる。
  6. 注文者が資材を支給したり、機械を貸与したりすることはあるか。10号の記載の要否と、軽微な工事の判定で市場価格を加算するかが決まる。
  7. 紛争になったとき、どこで解決したいか。工事現場と本店は離れているか。15号の定め方(審査会のあっせん・調停、管轄裁判所)を決める。

起きがちなこと:19条の空白は、揉めた日にだけ見える

19条の記載事項が欠けた契約書でも、工事が予定どおりに終われば誰も困りません。問題が表に出るのは、中止、天災、値上がり、近隣からの苦情、検査の引延ばし、支払の遅れといった「予定外」が起きた日です。そのとき契約書に定めがなければ、民法の原則に戻るか、当事者の言い分のぶつかり合いになります。最後に、事務所の書類で繰り返し見てきたことをまとめます。

よくあるご質問

建設業の許可を持っていない小さな工事でも、建設業法19条の書面は必要ですか?

必要です。19条1項の主語は「建設工事の請負契約の当事者」で、許可の有無を問いません。軽微な建設工事(工事一件の請負代金が500万円に満たない工事など)だけを請け負う許可のない事業者でも、請負契約を結ぶときは16の事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付することが求められます。

19条1項の16項目を全部書くと、請負人に不利な条項が増えませんか?

19条は定めがあることを求めており、内容が有利か不利かは問いません。欠けている号は、請負人に有利な内容で定めを置けば埋まります。たとえば不可抗力の損害は注文者の負担とし協議不調時は請負人の算定による、遅延利息は注文者の支払遅延にも同率を置く、といった書き方です。

「甲乙協議のうえ定める」と書いておけば、算定方法の定めになりますか?

協議は手続であって、額の算定方法ではありません。協議が整わないときの帰結が書かれていなければ額は決まらないため、事務所の改訂では「協議が整わないときは乙が証拠により証明した額とする」「単価に数量を乗じて算定する」のように、協議不調時の帰結まで書きます。

見積書に注文者の承認印をもらうだけの契約で足りますか?

見積書は工事内容と代金しか書いていないことが多く、6号から9号、検査の時期、各当事者の遅延利息、紛争の解決方法などが欠けがちです。注文書・請書で取引するなら、基本契約書を結んでおくか、約款を添付・引用して、16の事項がどこかに書かれている状態にしておく必要があります。

500万円ちょうどの工事は、許可なしで請け負えますか?

請け負えません。施行令1条の2第1項は、軽微な建設工事を「500万円(建築一式工事は1,500万円)に満たない工事」と定めているので、500万円ちょうどから許可が必要です。契約を分割しても正当な理由がなければ合算され、注文者が材料を提供するときはその市場価格を加えて判断します。

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